「まったくサイズを指定しないのがベスト」
前の記事で中間発表第2回をしている「読みやすさアンケート」では、最も読みやすいとされた文字サイズは14px。2位の15pxと合わせて半数強が票を入れている。続いて16px、13pxときて、ここまでで全体の8割をこえる。
このアンケートでは、どのサイズが読みやすく感じられるのかを客観的に調べる為に、あえてピクセルで文字サイズの指定を行っている。パーセントやemの指定だと、回答者の環境によって答えがぶれるからだ。同じ「100%」という票でも、文字サイズ「最小」にしている人の「100%」と「最大」にしている人の「100%」ではまったく違うフォントサイズになってしまう。
(……だからホントは相対指定と絶対指定の両方でアンケートを取るのが一番なんだけどね。そこまではちょっと手が回りませんでした)
WindowsIEで換算すると、13pxと文字サイズ「小」で見たサイズ指定なし文字のサイズがほぼ同じ。16pxと文字サイズ「中」で見たサイズ指定なし文字のサイズがほぼ同じ、となる。(なお、IEの初期設定では文字サイズは「中」)
FireFoxやOpera、Netscape7、SafariなどIE以外のブラウザの初期設定は、だいたいが16pxになっている。
なお、アンケート回答者の使用ブラウザを見ると、8割がIE6ユーザー。(SleipnirなどエンジンにIEを使っているブラウザは、IEとしてカウント)
そうすると、多くの人が小説本文の文字サイズに最適と選んでいる14px、15pxというのは、「デフォルトよりやや小さめのサイズ」ということになる。
文字サイズのピクセル固定を避け、相対指定でこれを実現しようとすると、たとえば「88%」というサイズ指定になる。(14/16=0.875)
……でも、ホントにこれでいいんだろうか?
アンケートに寄せられたコメントのなかで、文字サイズに言及したものを見て欲しい。「文字サイズが小さい」ものに対する苦情が多いと思う。もちろん中には「大きすぎるのも困る」といった意見もあるが、圧倒的多数は「文字が小さいと読みにくい」というものだ。
そうすると、こうは考えられないだろうか。閲覧者は、文字サイズがその人にとっての最適サイズより多少大きく指定されていても特に不満は感じないが、最適サイズより小さく指定されていると不満を感じるのである――と。
(もちろん、文字サイズを小さく指定してしまうサイトの多い昨今だから、文字サイズの小ささに対する不満が出やすくなっていることもあるだろうが)
また、こんな可能性も想定できる。人気の高い13px〜16pxというサイズのうち、小さめのサイズに票を入れた層ではブラウザの文字サイズも小さめ(「小」や「14px」など)に設定している割合が高く、大きめのサイズに票を入れた層ではブラウザの文字サイズも大きめ(「中」や「16px」など)に指定している割合が高い、という。
どこかでブラウザの設定を変更せずに使っている人が多いという統計も見たことがあるが、このアンケートに回答してくれたのは、「最適な文字サイズ」に関心をお持ちの人が多いだろう。そうすると、自分の好みに合わせてブラウザの文字サイズを変更してある割合も、おそらく一般的なPCユーザーより高くなる。実際、「相対サイズであれば自分で大きくして読めるからいいが、固定サイズはこまる」という意見がいくつも見られるのは、文字サイズ変更のスキルを回答者が持っていることを表している。
さて、このような、自分にとっての読みやすいサイズをブラウザの標準にしている閲覧者は、本文の文字サイズを「88%」に指定しているページにアクセスした際、どのように感じるだろうか?
「ちょっと小さくて読みにくいな」と感じる可能性は、少なくないのではないだろうか?
もちろん、そう感じたこの閲覧者は、一時的にブラウザの表示サイズを変更して自分の読みやすいサイズで読んでくれるだろうけれども。
閲覧者があらかじめ「自分にとっての最適サイズ」で見ていることを前提にするなら、冒頭で述べたように、文字サイズを指定しないことがやはりベストだと私は考える。
問題はそのような閲覧者の割合なんだけども……それを増やしてやるのもサイト制作者の役割なんではないかなあなんて思っている。
よーするに、ブラウザの標準文字サイズの変更方法を案内すればいい。
別にいちいち解説ページ作らなくても、初心者向けサイトの解説ページにリンクを貼ってやればいいだけの話だ。
……あー、需要があるならリンクフリーの解説ページ1枚ぺらっと作るよ?
……ま、実際のとこ、88%程度の縮小だとそこまで激しくサイズが変わらないので、誤差の範囲っちゃ誤差の範囲なんだけどな。(身も蓋もないな!)
80%くらいまで下げられると、ブラウザの指定から一段階強制的に下げられる感じになるので、できれば勘弁して欲しいものである。
……個人的にはブログやニュース記事は13pxくらいで本文幅が狭めのほうが読みやすい。
小説はもう少し大きくてもいい。
ので、職場のPCは文字サイズ「小」、自宅のPCは文字サイズ「中」になっていたりします。
自宅のほうがちょっとディスプレイとの距離が遠いというのもあるけどね。(ものは両方19インチ液晶、1280*1024)
小ネタですが、ウチの環境(Win2k/IE6&FF1.5/15inch液晶)で調べた所、17pxと16px、15pxと14px、13pxと12pxは、実質同じサイズの文字で出力されるみたいです。
というのは、「書」とか「美」「国」なんかを実際に表示させてピクセル数を数えました(←物好き・笑)
ただ、それだと文字サイズの計算が狂うので、例えば15pxの場合は上や横に1pxの余白を足すなどされているようです。
少ないピクセルで線の多い漢字を表現するってことで、多分Macでも同じだと思うのですが、どうでしょうか?(⇒Macユーザーさん)
それともうひとつ、Windowsの明朝体はギザギザで見るに耐えない、というのは有名な話ですが、Officeシリーズに入ってるDF平成明朝体W3を8px指定してWin2kの「スクリーンフォントの縁を滑らかにする」をオンで見ると「なぜかめちゃめちゃきれい!」です。同サイズのMSゴシックはもちろん、ヒラギノよりも読みやすく、複雑な漢字を含まなければ長文でもスイスイ読めてしまえました。ちょっと感動・・。しかし、17〜9pxが汚いのは逆に謎。
こんにちは、コメントありがとうございます。
貴サイトの「フォントサイズを取り戻せ!」には勉強させていただきました。とても参考になる記事、ありがたいです。
>17pxと16px、15pxと14px、13pxと12pxは、実質同じサイズの文字で出力される
貴重な情報ありがとうございます。そうだったのですかー。確かに1ピクセルずつ変えていくと、拡大→余白増える→拡大→余白増えるという感じですね。
そういえば、文字サイズをパーセンテージで指定した場合も、1%刻みで変化するのではなく、段階的に変化するのだったと思います。
けっきょくは、あらかじめ用意されたいくつかのサイズの文字を切り替えて表示しているのに過ぎないということでしょうか。
このへんもOS・ブラウザごとにきっちり検証してみたいところです。
>DF平成明朝体W3を8px指定してWin2kの「スクリーンフォントの縁を滑らかにする」をオンで見ると「なぜかめちゃめちゃきれい!」
それはまた面白いですね。そのサイズだけ特別に用意されているのでしょうか。しかし17〜9pxが汚いと実用に耐えませんね。残念です。
そういえばMS Pゴシックも25pxまで拡大するといきなりアンチエイリアスの効いたフォントになるようです。